黒く笑え

文芸評論家川本直のBlog

2月7日発売の『文學界』3月号に「吉田健一邸を訪ねて」を寄稿しました

 『文學界』3月号に批評とルポルタージュの融合のような吉田健一邸訪問記「吉田健一邸を訪ねて」を寄稿しています。『文學界』に寄稿したいと初めて思ったのは16歳の頃。21年の時を越えてようやく宿願を果たしました。今、万感の想いを込めて「吉田健一邸を訪ねて」を放ちます。拙稿はルポルータジュであるだけではなく、私の批評に対するアティチュードを示したものでもあります。ご高覧戴けると幸いです。なお、吉田健一邸の撮影は同道戴いた樫原辰郎さんです。偶然が重なり、『新潮』3月号と『文學界』3月号、同時掲載を果たしました。

 

文學界2017年3月号

文學界2017年3月号

 

 

2月7日発売の『新潮』3月号に評論「アメリカという名の悪夢――ナサニエル・ウエスト論」を寄稿しています

 2月7日発売の『新潮』3月号に評論「アメリカという名の悪夢――ナサニエル・ウエスト論」を寄稿しています。この拙論は既に去年の1月あたりに完成しており、その後、柴田元幸新訳ナサニエル・ウエスト『イナゴの日/クール・ミリオン』(新潮文庫)が2017年2月1日に発売される、という一報が入り、掲載が決定しました。実際、拙稿にも「2月1日発売」と書いていました。ところが、柴田元幸新訳はほぼ発売日当日に5月1日発売に延期され、その時には既に校了していたため、訂正が間に合いませんでした。申し訳ありません。なお、上記の事実からもわかりますが、新訳『イナゴの日/クール・ミリオン』は一切参照できませんでした。

 ナサニエル・ウエストは1930年代のアメリカで活動した作家です。長編小説は『バルソー・スネルの夢の生活』、『孤独な娘』、『クール・ミリオン』、『イナゴの日』しか残していませんが、どれも規格外の作品です。特に『孤独な娘』、『クール・ミリオン』、『イナゴの日』は間違いなく、傑作です。

 ウエストは1930年代の大恐慌の時代に活動したため、陰鬱でブラック・ユーモア漂うシュールな作風で「アメリカという名の悪夢」を描き続きました。ウエストの小説世界は現代の日本と驚くほど共通点があります。ウエストこそ現代の日本で最も読まれるべき作家だと言えるでしょう。拙稿が5月1日に発売される柴田元幸新訳ナサニエル・ウエスト『イナゴの日/クール・ミリオン』の露払いとなり、ひとりでも多くの日本人読者にウエストの小説が届いてくれることを心から祈っています。

 

 

新潮 2017年 03 月号 [雑誌]

新潮 2017年 03 月号 [雑誌]

 

 

『吉田健一ふたたび』について重要なお知らせ

【重要なお知らせ】

2月3日から10月6日まで全9回を予定しておりました『吉田健一ふたたび』講演は、諸般の事情により一旦キャンセル、延期させていただくこととなりました。
ご予定いただいていた皆様には誠に申し訳ございません。深くお詫び申し上げます。

登壇者による評論集の年内刊行を予定しており、現在、研究会などの準備を進めております。また、今年7月には東京大学駒場キャンパスにて関連イベントを予定しております。

今後、メンバーによる打ち合わせや研究会など準備の様子やイベントの開催情報を随時、お知らせいたします。 今後ともよろしくお願いいたします。

吉田健一没後四十年『吉田健一ふたたび』第一回「吉田健一の生涯」

没後四十年、批評家・吉田健一を新たな視点から新進気鋭の文学者たちが語るトークイベントを2017年1月6日(金)から全10回にわたって開催いたします。吉田健一のご遺族の公認を得た公式イベントです。吉田健一を知らない方も入門編として楽しめます。

 

第一回登壇者は川本直(文芸評論家)、樫原辰郎(映画監督・脚本家・著述家)

 

テーマは「吉田健一の生涯」

 

樫原辰郎撮影の、吉田健一生前のまま保存された吉田健一邸の映写とともに、吉田健一の生涯を辿ります。

 

日時:2017年1月6日(金)18:00~20:00

入場料:一般 予約:1200円(1drink付) 当日:1400円(1drink付)
学生 予約800円(1drink付) 当日:1000円(1drink付)

 

会場:サロンド冨山房 FOLIO 〒101-0051 東京都千代田区 神田神保町1ー3 冨山房ビルB1


ご予約はサロンド冨山房FOLIO
Tel:03-3291-5153
Email:folio@fuzambo-intl.com
まで。
当日券もございます。

 

登壇者プロフィール

 

川本直:文芸評論家。2011年、『新潮』でデビュー。著書にノンフィクション『「男の娘」たち』(河出書房新社、2014)。最新作は「楽園からの逃亡――イーヴリン・ウォー『ブライヅヘッドふたたび』をめぐって」(『新潮』2016年12月号)。

 

樫原辰郎:映画監督・脚本家・著述家。数々の映画作品の監督・脚本を手がけ、最近は文芸評論家としても脚光を浴びている。単著に『海洋堂創世記』(白水社、2014)、谷崎潤一郎の『痴人の愛』を斬新な視点から論じた『『痴人の愛』を歩く』(白水社、2016)。共著に『iPhoneで誰でも映画ができる本』(キネマ旬報社、2011)がある。

 

吉田健一ふたたび』第一回以降のスケジュール

すべての回の司会は川本直・樫原辰郎

第二回:吉田健一の初期随筆(23日(金)19:0021:00

 

ゲスト:宮崎智之(フリーライター

 

第三回:吉田健一の後期随筆(33日(金)18:002000

 

ゲスト:野村崇明(批評再生塾第一期生)

 

第四回:吉田健一の日本文学批評(47日(金)18002000

 

ゲスト:渡邊利道(批評家・小説家)

 

第五回:吉田健一の英国文学批評(526日(金))

 

ゲスト:武田将明(批評家・東京大学准教授)

 

会場:東大駒場キャンパス。詳しくは冨山房FOLIOまでお問い合わせを。
時間帯:未定

入場料:無料

 

第六回:吉田健一の後期批評(201762日(金)19002100

 

ゲスト:渡邉大輔(批評家・映画史研究者・跡見学園女子大学助教

 

第七回:吉田健一の長編小説(77日(金)19002100

 

ゲスト: 岸川真(小説家)

 

第八回:吉田健一の短編小説(84日(金)19002100

 

ゲスト:仙田学(小説家)

 

第九回:吉田健一の翻訳(91日(金)18302030

 

ゲスト:横山學(歴史学者)・和爾桃子(翻訳家)

 

第十回:吉田健一とは何者だったのか?(106日(金)(18002000

 

ゲスト:交渉中

 

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『新潮』12月号に「楽園からの逃亡――イーヴリン・ウォー『ブライヅヘッドふたたび』をめぐって」を寄稿しました。

『新潮』12月号に「楽園からの逃亡――イーヴリン・ウォー『ブライヅヘッドふたたび』をめぐって」を寄稿しました。

 吉田健一訳の『ブライヅヘッドふたたび』に出会ったのは高校生の頃。それ以来この小説を何らかの形で論じられないか、ずっと考えてきましたが、19歳の時、佐藤亜紀氏の『ブライヅヘッドふたたび』に関するエッセイ「英国的にチャーミングなるもの」を読んだことで、具体的な着想を得ました。今回、それ以来の課題をようやく果たしたことになります。

 ゼロ年代の心の支えはイーヴリン・ウォーマルセル・プルーストといった古典を読むことだけで、私は徹底して反時代的に生きてきました。よって、この批評はゼロ年代批評とは無縁の保守的な色彩を帯びています。

 援用している吉田健一は私が日本文学で最も評価している批評家ですが、彼の批評を十全にわかったとは決して言いませんし、吉田健一の尽きせぬ魅力はやすやすとわかったと言わせないところだと考えていますが、三十路を越え、最近ようやく吉田健一の言わんとしていることが理解できるようになってきました。

「楽園からの逃亡」を脱稿したのは今年1月17日のことですが、編集長からの懇切丁寧な二度に渡る改稿指導によって、この小論には今まで書いたものの中で最も長い時間を掛けて取り組むことになりました。

 今まで書いてきたものは日本ではあまり人口に膾炙していない英米の小説家の「紹介」と言ってもいいものでしたが、今回は日本でもよく知られている『ブライヅヘッドふたたび』を論じたため、「紹介」的側面を極力抑え、「批評」に力点を置きました。私は一作毎にスタイルを変遷させることを自覚的に行っていますが、戯作を意識した前作「デヴィッド・マドセンは黒く笑う」と今作はかなり違ったシリアスなものになった、と思います。

 私はいつも人生で間違ってきました。今も間違いだらけの人生です。これを読んでいるあなたも人生で失敗したことがないとは言わせません。人は必ず間違うものです。人の過ちを描いた小説としての『ブライヅヘッドふたたび』に焦点を合わせ、論じたのが「楽園からの逃亡」です。今回は自らの実存を賭けました。

 この「紹介」から「批評」への移行が起きたことには同世代の文芸批評家、浜崎洋介氏との交友が影響を及ぼしています。浜崎氏に感謝を。

新潮 2016年 12 月号 [雑誌]

新潮 2016年 12 月号 [雑誌]

 

 追記:「楽園からの逃亡」本文には『ブライヅヘッドふたたび』の吉田健一の翻訳を使用しました。原書との照合は行いましたが、英文学者でも翻訳家でもない私が吉田健一の名訳に手を入れる必要は一切ありませんでした。使用した資料群のAmazonリンクを貼っておきます。『ブライヅヘッドふたたび』及び「楽園からの逃亡」の副読本としてお読み戴ければ幸いです。

ブライヅヘッドふたたび

ブライヅヘッドふたたび

 

 

 

 

吉田健一

吉田健一

 

 

 

英国の近代文学 (岩波文庫)

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書架記 (中公文庫)

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20世紀英米文学案内〈23〉イーヴリン・ウォー (1969年)

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外人術―大蟻食の生活と意見 欧州指南編 (ちくま文庫)

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都市と柱 (アメリカ文学ライブラリー)

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仙田学☓川本直「バブみについて」

仙田学×川本直、新進気鋭の小説家と文芸評論家が萌え用語「バブみ」についてキモく熱く語り倒すトークイベント!

 

早稲田大学戸山キャンパス36号館2階ラウンジにて11月5日(土)11月12日(土)11月20日(日)午後2時~開催!

参加費:(営利目的ではないため)無料。

特典:仙田学の著書『ツルツルちゃん』、『盗まれた遺書』、もしくは仙田学の小説掲載誌をお持ちの方に漏れなくサイン。

 

イベント内容:われわれはいかにしてバブみに辿りついたか、バブみとは何か、バブみと実存、バブみと性、バブみと文学、質疑応答。

 

・登壇者プロフィール

 

仙田学:小説家。「中国の拷問」で第19回早稲田文学新人賞を受賞。著書に『ツルツルちゃん』(NMG文庫)、『盗まれた遺書』(河出書房新社)。最新作は「愛と愛と愛」(『文藝』2016年春季号)。

 

川本直:文芸評論家。2011年、『新潮』でデビュー。著書にノンフィクション『「男の娘」たち』(河出書房新社)。最新作は「デヴィッド・マドセンは黒く笑う」(『新潮』2016年5月号)。

 

参加表明はこちら↓

twipla.jp

ライター・イン・レジデンス@徳島

  徳島にお住まいの森哲平さんのお招きに応じて12月10日から17日まで徳島に滞在します。

https://www.facebook.com/teppei.mori.16

twitter.com

 今回はアーティスト・イン・レジデンスならぬライター・イン・レジデンスということで、徳島に滞在しながら、文学イベントや交流会を開いたり、徳島県各所を取材したりします。既に徳島市だけではなく、美波町からもご招待を受けています。
 既に森哲平さんは取材記事を書く媒体として徳島新聞にアクセスして下さいました。新聞社、タウン誌、各種ウェブメディア、媒体の方で記事を書いて欲しい、とご希望の方は森さんまでご連絡下さい。森さんの連絡先は下記URLに書いてあります。
 

medium.com

 私の17年来の友人は徳島出身です。そのことがきっかけで徳島に並々ならぬ関心を抱いてきました。徳島のためならなんでもします。私で役に立つことなら、森さんまでご連絡下さい。